中央銀行デジタル通貨について

中央銀行(従来の国のお金を発行していた銀行)が、ブロックチェーン技術を使ってビットコインと類似するような通貨を発行するというアイデアがあり、複数の国で詳細に検討されている。

中央銀行がデジタル通貨を発行したらどのような課題があるのだろうか。中央銀行デジタル通貨(CBDC)にまつわる論点を網羅的に整理したディスカッション・ペーパーが刊行されました。

Soichiro Takagi (2017) “The Impact of Central Bank Digital Currency: From a Functional Perspective”, GLOCOM Discussion Paper Series 17-003. http://www.glocom.ac.jp/wp-content/uploads/2017/05/GLOCOMDISCUSSIONPAPER_No5_2017-No003e.pdf
(要旨の日本語訳)

ブロックチェーン技術は、幅広い経済やビジネスの仕組みに変化をもたらす技術的革新として注目を集めている。分散型台帳としても知られるブロックチェーン技術は、当初ビットコインを実現する基盤技術として誕生した。こうしたビットコインや類似のデジタル通貨は、世界中の不特定多数の参加者により発行され、維持されている。しかし、ビットコインのような民間セクターのデジタル通貨への対応として、各国の中央銀行も、自らのデジタル通貨を発行することについて関心を高めている。英国、スウェーデン、カナダ、カンボジアなどの中央銀行が、中央銀行自ら発行するデジタル通貨について研究を行っている。もし中央銀行がブロックチェーン技術に基づき、自らのデジタル通貨を発行することになれば、国内外の経済や、金融システムに対して幅広い影響を及ぼすことが考えられる。本稿は、ブロックチェーン技術の技術的・機能的特徴を紹介し、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実装に関わる経済的・社会的な影響可能性を示すことにより、中央銀行デジタル通貨について議論する際の論点やポイントを包括的に示すことを目的とするものである。

 

ブロックチェーン定期レポート

GLOCOM ブロックチェーン経済研究ラボでは、2017年4月から、世界中のブロックチェーンの最新動向をコンパクトにまとめるとともに、有識者の意見等を付加した「定期レポート」を毎月発行する予定で、現在購読者募集中です。

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ビットコインとリアル通貨の接合

ビットコインの存在感も再び目立つようになってきたところかと思う。オルトコイン呼ばれる、ビットコインと類似の仮想通貨も数多く登場しており、この分野はFinTechの柱の一つとなっている。

ところが、ビットコインについて正式に規制される動きが加速している。オーストラリアでは、大手銀行がビットコインとの取引を停止する措置を取ったそうである。(2015年10月5日付International New York Times※)

記事を見る限り、大手銀行に開設されていたビットコイン取引所関連の銀行口座が閉鎖されたようである。これによって、ビットコインを持っていても、ビットコインからオーストラリアドルに両替することも、また逆にオーストラリアドルからビットコインに両替することもできなくなる。また、同記事によると、もともと英国や米国では同様に大手銀行はビットコイン関連の取引を停止しているという。

今回の措置で、オーストラリアに17あるビットコイン両替所のうち13が営業停止となったそうである。ビットコインの利用者にとっては大打撃だろう。

オーストラリア銀行協会の担当者のコメントによると、透明性の不足、規制・監視の不足によって、ユーザへのリスクが懸念される他に、決済システムへのリスク、金融システムへの信頼、課税ベースの減少が懸念されるという。もちろんこれはオーストラリアの銀行側の意見であり、ビットコインユーザは別の見解を持つだろう。

興味深いのは、今回の措置は政府が規制したものではないということである。あくまでも銀行がビットコインとの両替に関わる業務を行わないようにしたということである。これまでビットコインについては様子見、黙認という国が多かったと思うが、銀行側がこのような措置を取ったということは、金融業界としてそれなりに脅威を感じているということかもしれない。

また、今回の件でもう一つ興味深いのは、ビットコインといえども、既存通貨との両替というところにそのボトルネックというか、利用価値を確保するための重要なポイントがあったということである。

P2Pの技術がこのリアル通貨との接合部分で行き詰まるのか、はたまた別の方法で打開策を見いだすのか、今後も注目である。

※New York Timesのサイトでは同記事は見つからなかったが、元記事と思われるのはこちら(Reuter)。