「ブロックチェーン・エコノミクス」 の将来〜ブロックチェーン技術は社会と経済にどのような影響を与えうるか

8月31日(金)に、ブロックチェーンハブにて表記の講演をさせていただきます。ご関心の方はこちらよりお申し込みください。

日時 2018/08/31 (金)  19:00 – 20:30 JST
会場 ブロックチェーンハブ日本橋事務所 (千城ビル5階)

特別講義  ブロックチェーンの応用可能性

ブロックチェーン技術は仮想通貨のみならず、様々な分野における活用可能性が指摘されている。しかし、それがもたらす本質的な影響や、具体的な活用への道筋は必ずしも明らかではない。本講演では、一般財団法人機械システム振興協会が国際大学GLOCOMに委託して調査を実施し作成した「ブロックチェーン技術の応用に関する戦略策定」報告書の内容を元に、ブロックチェーン技術が金融以外を含めた多様な分野において、どのような影響を与えうるか、どのような活用が可能かを検討する。

講演内容

・ブロックチェーンの本質的影響

・本質的影響と事例

・技術的展開に関するシナリオ

・各分野への影響(「金融」、「エネルギー」、「製造業」、「行政」、「知識情報 サービス」)

・課題とまとめ

ZMP自動運転タクシー実証実験

本日、ZMP社と日の丸交通が手がける自動運転車によるタクシーの実証実験に参加し、六本木から大手町のルートに乗車した。取り急ぎ感想をメモしておきたい。

事前にスマホアプリからルートを選択して日時を予約しておき、無人のタクシーに乗車するというシナリオである(実証実験なので実際には乗務員とスタッフが同乗する)。決済は事前にクレジットカードを登録しておくので、降車後に自動的に精算される仕組みだ。

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六本木ヒルズの乗り場

 

時間になると、カープールから指定の乗車場に自動運転でやってくる。随分慎重な運転で、おずおずとやってくるという印象(といっても、六本木ヒルズの車寄せは車が多く、人間でもある程度慎重にならざるを得ない)。

 

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乗車位置に車が到着

 

アプリで車のQRコードを読み込むとドアが開き、乗り込む。車内のタブレットで諸々確認ボタンを押すと、ドアが閉まって自動的に動き出す。

六本木から大手町のルートは、なかなか大変なルートである。そもそも六本木ヒルズの車寄せ自体が複雑で車が多いし、人間でも迷いそう。六本木通りも車が多く、また流れも早く、路駐も多い。

運転自体は、概ね問題なく進んでいく。時折ギクシャクした感じはあるが、初心者の運転者よりはスムーズといった感じ。ただし、人間と違う部分がいくつかある。

  • 車線を厳守して走るので、カーブで少し内側をカットしたりしない。よって割と急カーブで曲がる場合もある。
  • 人間だと隣車線の車ともう少し距離を取りたくなるような場面でも、動じずに車線をキープ(多分レーダーでは安全な距離という判断だろう)。

ごく稀に介入が必要な場面はあったが、95%は何の問題もなく進んでいき、そのうち自動運転であることを忘れてしまいそうだった。

ただ、残り5%はネックである。例えば今回の場合、左折のために左車線に入ったところで路上駐車の車があり、しかもそこは黄色線のため右に膨らむこともできずに停まってしまう場面があった。人間だとまあ許容範囲ということで右に膨らんで通るが、ルール厳守だとどうにも動けなくなってしまう。こうした異常ケースをゼロにするのはなかなか大変そうである。

今回は無人タクシーを想定した実験とのことだったが、異常時ということも考えると、完全に無人にする必要があるかは疑問でもあった。おもてなしを主眼とするドライバーが座っていてもいいし、乗客自身が異常時の対応をしても良いかもしれない。

そうこうするうちに、大手町に到着。人間のドライバーよりは時間がかかったかもしれないが、特に問題もなく到着した印象。

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大手町に到着

 

ということで、感じた点をメモにしておく。

すごいと思った点

  • 車も多く、流れも早い複雑な公道を走るというタスクにおいて、95%は問題なくできるということは改めてすごいと思った。
  • 乗り心地などのインクリメンタルな改善は時間の問題なので、早々に解決されそう。

疑問に思った点

今回はルートも車線も事前に設定されているようだったが、ルートのインプットはどのような方法で行う必要があり、フレキシビリティがあるのだろうか。カーナビで行き先を指定できるようになるまでには、どのくらい差があるのだろうか。

こうすれば良いのでは、という提案

  • 都内の混雑道路での実証実験もすごいとは思うが、高速道路だけならもっと早く実用化できるのではないか。PA/SA間の指定で自動運転してくれれば、ドライバーとして非常に楽になる。
  • 異常ケースがゼロになることはなさそうであると考えると、ドライバーが全く無人になるというのは難しいようにも感じた。むしろ乗客自身が運転席に座ってもいいかもしれない。指定の場所に自動運転で無人の車がやってきて、乗客が乗り込む。基本は自動運転で進んでいくが、異常時は乗客が介入しても良い。到着したら乗り捨てておけば、自動でカープールに戻っていく。カーシェアに近いサービスだが、こちらの方が現実味がありそうだ。
  • 一方で、無人タクシーは、普段タクシーがあまり走っていない住宅地や郊外などで、買い物にいく際などには重宝しそう。郊外は道路もシンプルだし、停めるところもたくさんあって、異常ケースは比較的少ないかもしれない。しかも現状ではタクシーがつかまらない場合が多いからニーズもありそう。

ということで、色々と考える機会となる貴重な経験だった。ZMPと日の丸交通の皆様、ありがとうございました。

 

「美団」に見るプラットフォームの新展開

昨日まで中国を訪問し、ITサービス動向に関する調査を行ってきた。特に、上海、杭州、深センを周り、モバイルペイメント、ネットスーパー、デリバリー、無人コンビニ、シェア自転車、配車アプリなど様々な新サービスを実際に体験してきた。

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なんでもQRコードで決済する(写真は駅の券売機)

 

興味深い点は多岐にわたるが、その中で特に印象に残ったのが、デリバリーに強みを持ち、eコマースのプラットフォームを形成する「美団」である。(注:デリバリーを行うのは美団だけではないが、特に印象に残ったため美団を取り上げる。)

日本では巨大プラットフォームとして「BATJ」(バイドゥ、アリババ、テンセント、ジンドンの4社の頭文字を取ったもの)が知られている。その中でも、アリババとテンセントの2社は、それぞれアリペイ、WeChat Payというペイメントを核としたサービスの幅広さと普及度合いにおいて圧倒的であった。

アリババとテンセントのプラットフォームはスマホの中で圧倒的な存在感を放つのに対して、「美団」は、リアルに街中で存在感を放っている。上海でも杭州でも深センでも、至る所に「美団」のジャンパーを着た男性が、電動スクーターで荷物を運んでいる光景を目にする。

IMG_1850 (1)上海市内にて

 

「美団」はもともと口コミサイトから始まったアプリで、飲食店の評判をシェアするサービスだったが、ここからお店のクーポンを売るサイトに発展した。日本で言えば「食べログ」と「Hotpepper」を合わせたようなものだろうか。

さらに、お店の食事をスマホアプリから注文する(あるいはクーポンを買う)と、配送員がお店に取りに行き、自宅など指定の場所まで運んでくれるというサービスへ展開した。だいたい30分から1時間ほどで運んでくれる。自宅から一歩も出なくても買い物、飲食ができるというわけである。

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「美団」のアプリ画面

 

通常、プラットフォームは「Two sided network」を構成することが多い。お店と消費者、楽曲提供者とリスナー、アプリ開発者とアプリ利用者といった具合である。GoogleもAmazonもAppleも、こうしたビジネスモデルで急成長を遂げてきており、それが長期的な競争力の源泉にもなっている。

 

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一般的なTwo-sided network

 

ところが、「美団」は実質的にお店、利用者、そして配送員の3者からなる「3 sided network」を構成しているように見える。配送員に聞いたしたところ、美団に所属しているものの、配送の注文を受け付けるかどうかは自由に判断できるとのことだった。配送員曰く、「自由に仕事をできるところが良い」とのことである。Uberやdidiのドライバーのように、かなり裁量に任されているようで、恐らくは歩合制なのだろう。配送員の裁量度合いにもよるが、プラットフォームにおいて配送員も市場的に取引している様子が伺えた。

 

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「美団」に見る3 sided network

そして、配送のネットワークをテコにして、美団はeコマースのプラットフォームとして急成長中である。

生活のかなりの部分をスマホでできるようになり、そのスピードと効率性は飛躍的に向上している。しかし、リアルな「モノ」の移動はボトルネックだ。これからは、ネット時代のスピードを発揮するアプリ開発に加えて、いかにボトルネックを解決するかが競争力のあるサービス開発の鍵となるだろう。

配送というボトルネックを押さえた美団の競争力は大きいように見える。日本でいえばアマゾンとヤマトを合わせたようなサービスを、プラットフォーム的に実現していると言えば良いだろうか。

一方、3者にわたるネットワークはどのような意味を持つだろうか。今のところ、美団は大規模なネットワークを構築しており、これから配送ネットワークを整備しなければならない後発にとってはハンデとなる。そういう意味ではネットワーク外部性による競争力は従来型の「2者ネットワーク」より高いかもしれない。

ただし、中国の場合は雇用が流動的で、より良い配送の仕事があれば容易に配送員が移ってしまう可能性もないとは言えない。実際に配送をテコにしたプラットフォームは美団だけでなく、すでに幾つかの事業者が存在する。

また、配送という鍵となる部分を配送員の裁量に任せた場合、十分な配送能力が確保できない可能性もある。注文が入りそうなのに、配送員が誰もいないため注文が成立しない、といった場合である。

一方、日本でこうしたネットワークを構築する際は、はたして十分な数の配送員を確保できるかどうかが課題だ。物流網をプラットフォーム的に実現する美団のビジネスモデルは、圧倒的な数の人材を持つ中国ならではという面もあるかもしれない。今後の展開にも注目したい。