いまさら聞けないブロックチェーン(7):得意と不得意

これまでのブロックチェーン解説は、主にビットコインで使われているものを対象としてきた。しかし、現在はこれをもとに様々に拡張・進化したものが開発されている。そこで、これまで議論してきたものをブロックチェーン1.0と呼んでおこう。

これまで見てきたように、ブロックチェーンは、公開鍵暗号を巧妙に活用して、P2Pにより情報の形を取った資源の管理を行う仕組みである。しかし、その機構上、得意な部分と不得意な部分がある。まとめると以下のようなものだ。

まとめ

得意なところから見ると、まず何と言っても、公開鍵暗号方式を活用して、主体(エンティティ)とデータ(リソース)をリンクできる点である。この場合、秘密鍵を持っているものがそのリソースを使う権利があるといったことになる。

また、分散して、すなわち重複してデータを持っているため、集中管理サーバーと比べて単一ポイントの脆弱性がない。一つのサーバーが利用できなくても、別のサーバーを使えば良い。

さらに、オープンなP2Pネットワーク、つまり誰でも参加できるネットワークにおいて、システムの維持管理を担うインセンティブが内部化されている点である。これによって、特定の誰かが費用を負担しなくてもシステムが維持される。(正確には参加者が手数料として、また自分のビットコインの相対的な持分の減少として負担している。)

一方で、数々の不得意分野もある。第一に、先に見たように取引が第三者により確認され、ブロックに組み込まれるまでに時間がかかる。リアルタイム性が求められるサービスにはハンデである。また、ビットコイン以外のものに応用した場合に、どのようにP2P参加者にインセンティブを持たせるかも課題だ。

また、ブロックチェーンを一般商用システムに活用した際に問題になるのが、情報の単調増加性だろう。通常のデータベースは情報を書き換えていくが、ブロックチェーンは過去のデータを書き換えることはできない。変更したい場合は新たな取引データを生成する必要がある。そのため、情報量が増える一方である。これと関連して、大量のデータからどう必要な情報を高速に検索するかも課題である。

セキュリティ面では、ブロックチェーンは情報の秘匿性については基本的には考慮されていない。特にオープン型のブロックチェーンでは、情報は丸見えだと考える必要がある。また、ブロックチェーンは改ざんができないと言われるが、実際には改ざんを「検知」できるだけであり、誰かが検知する努力を払う必要がある。また最後に、秘密鍵をどう管理するかは公開鍵暗号方式に共通する課題だ。

こうして見ていくと、ブロックチェーンにはこれまでにない画期的な長所がある一方、商用システムに応用しようとすると様々な課題があることがわかる。実はこうした課題を解決しようと、様々な拡張や工夫が行われているのが、ブロックチェーン1.0に続く2.0である。こうした発展形については、また機会があれば書いていきたいと思う。