Economic Impact of Open Data

Our paper is here. Estimation of the impact of open data on the economy in macro-level using DSGE analysis.

Abstract
This study regards the data owned by national and local governments (public data) as infrastructure that will support the future development of Japanese society and economy. This article estimated the volume of public and private database assets and the impact of the provision of public sector data as open data on Japanese macro-economy.
The study estimated the value of data stocks owned by administrative bodies as well as
private corporations by regarding them as “database assets”, and simulated the impact of the provision of public data as open data on Japanese macro-economy. The estimated value of data assets comes to about 2.7 trillion yen for private sector data and about 3.7 trillion yen for public sector data. The provision of public data as open data was estimated to boost up GDP by 158.6 billion yen to 701 billion yen, depending on the assumed parameters. The study clarified the potential of public data to be used as a new type of infrastructure and showed the effect of such use quantitatively by estimates based on published data, thereby could contribute to the related fields of study.

 

Ethereumの実応用:Arcade Cityによるドライバーの企業所有

ブロックチェーンの発展形であるEthereum(イーサリウム)は、通貨の代わりにプログラムを載せ、稼働させることができるブロックチェーンの枠組みである。Ethereum自体はまだ2015年7月に運用を開始したばかりであり、実際の活用はまだまだこれからだと思われていたが、Arcade Cityという企業がイーサリウムを活用した興味深いビジネスを開始した。

Arcade Cityは、Uberのようなライドシェアリングのサービスを提供する。プレスリリースによると、ドライバーがこの会社の所有者になること、そして、より多くの自律性を手に入れることに新規性があるようだ。

例えば、ドライバーが料金を自由に設定することができるほか、配達や乗客のサポートなど付加サービスも自由に行うことができる。

そして、Ethereumの仕組みを使って、ドライバー自身がこの会社の所有者になるということである。

「Arcade City has begun integrating its service with blockchain technology using a decentralized application platform called Ethereum, similar to Bitcoin but more suitable for governing peer-to-peer interactions. Arcade City will use Ethereum to issue ‘crypto-equity’ to drivers, allowing them to own up to 100% of the company by 2020.」(プレスリリースより)

具体的な仕組みは明らかになっていないが、Ethereumで発行するトークンが株(エクイティ)となるのだろう。これは、よく議論されているDAO(Distributed Autonomous Organization)の一例ともいえる。

但し、これは株の持ち分の話だけであるので、これ自体は別にEthereumでなくてもできるかもしれない。

問題は、各ドライバーが完全独立自営業者として働くよりも、Arcade Cityの一員として働いた方がより多くの付加価値を生み出すことができるかどうかである。そのためには、Arcade Cityならではの何らかの統一的な付加価値が必要だろう。その企業としての付加価値を高めるために、ドライバーが働くことで、自分のエクイティの持ち分が増える、あるいはエクイティの価値が上がるような仕組みが内在化されていれば、新しい組織形態として非常に興味深いことになる。

この辺については、仕組みについて続報が待たれるところである。

 

いまさら聞けないブロックチェーン(7):得意と不得意

これまでのブロックチェーン解説は、主にビットコインで使われているものを対象としてきた。しかし、現在はこれをもとに様々に拡張・進化したものが開発されている。そこで、これまで議論してきたものをブロックチェーン1.0と呼んでおこう。

これまで見てきたように、ブロックチェーンは、公開鍵暗号を巧妙に活用して、P2Pにより情報の形を取った資源の管理を行う仕組みである。しかし、その機構上、得意な部分と不得意な部分がある。まとめると以下のようなものだ。

まとめ

得意なところから見ると、まず何と言っても、公開鍵暗号方式を活用して、主体(エンティティ)とデータ(リソース)をリンクできる点である。この場合、秘密鍵を持っているものがそのリソースを使う権利があるといったことになる。

また、分散して、すなわち重複してデータを持っているため、集中管理サーバーと比べて単一ポイントの脆弱性がない。一つのサーバーが利用できなくても、別のサーバーを使えば良い。

さらに、オープンなP2Pネットワーク、つまり誰でも参加できるネットワークにおいて、システムの維持管理を担うインセンティブが内部化されている点である。これによって、特定の誰かが費用を負担しなくてもシステムが維持される。(正確には参加者が手数料として、また自分のビットコインの相対的な持分の減少として負担している。)

一方で、数々の不得意分野もある。第一に、先に見たように取引が第三者により確認され、ブロックに組み込まれるまでに時間がかかる。リアルタイム性が求められるサービスにはハンデである。また、ビットコイン以外のものに応用した場合に、どのようにP2P参加者にインセンティブを持たせるかも課題だ。

また、ブロックチェーンを一般商用システムに活用した際に問題になるのが、情報の単調増加性だろう。通常のデータベースは情報を書き換えていくが、ブロックチェーンは過去のデータを書き換えることはできない。変更したい場合は新たな取引データを生成する必要がある。そのため、情報量が増える一方である。これと関連して、大量のデータからどう必要な情報を高速に検索するかも課題である。

セキュリティ面では、ブロックチェーンは情報の秘匿性については基本的には考慮されていない。特にオープン型のブロックチェーンでは、情報は丸見えだと考える必要がある。また、ブロックチェーンは改ざんができないと言われるが、実際には改ざんを「検知」できるだけであり、誰かが検知する努力を払う必要がある。また最後に、秘密鍵をどう管理するかは公開鍵暗号方式に共通する課題だ。

こうして見ていくと、ブロックチェーンにはこれまでにない画期的な長所がある一方、商用システムに応用しようとすると様々な課題があることがわかる。実はこうした課題を解決しようと、様々な拡張や工夫が行われているのが、ブロックチェーン1.0に続く2.0である。こうした発展形については、また機会があれば書いていきたいと思う。

 

ブロックチェーンの基本構造

これまで解説記事に書いてきたことを、一旦スライドにまとめました。ビットコインで使われているバージョンのブロックチェーンを対象としているため、「ブロックチェーン1.0」と呼んでいます。

よろしければご覧ください。

いまさら聞けないブロックチェーン(6)

前回、P2Pネットワークでどのように取引データが確認され、ブロックチェーンに結合されるかについて解説した。そのついでと言っては何だが、ブロックチェーンへの結合度合が持つ意味に触れておきたい。(仕組みについてはBitcoin.orgのディベロッパーガイドを参考にしている。)

一般的に、取引データがP2Pネットワーク(特に公開性があり誰でもマイニングに参加できる場合)、その取引が「どのくらいブロックチェーンに組み込まれたか」が、その取引の信頼性を左右する。例えば、以下は取引をP2Pネットワークに流したものの、どのブロックにも組み込まれていない状態である。

ゼロ

 

この状態は、認証ゼロ(0 Confirmation)と呼ばれる。取引間の関係は確認しようと思えばできるが、誰もそれを認証していない状態である。この状態では、取引が正当なブロックチェーンに位置付けられるのか、誰もわからない。もっとも信頼性が低い状態である。ここから、マイナーが取引を集めて新たなブロックを作成したとき、認証段階が1となる。

1認証

 

ここまで平均で10分である。これが繰り返されていって、例えば、取引自身が入っているブロックを含めて6つのブロックが作成されると、認証レベルは6となる。

6認証

 

一つのブロックを作成するのに平均10分かかるので、認証6のレベルまでに約1時間かかることになる。ここまで行くと、取引(上図ではTX2-2)を改ざんするのは困難だ。なぜなら、悪意のある人は取引を改ざんし、ブロックを作り直し、そして現在ある6つのブロックを追い越さなければならないからだ。

 

追いつかないの図

 

ところで、上記のように偽造であれ正統なものであれ、ブロックが分岐することは日常的に発生する(フォークと呼ぶ)。通常はもっとも長いものが正統であり、最も長いものにつながる新たなブロックで最初にできたものが正統なものとして受け入れられることが多い。短く分岐したブロックは、そのまま放置される(下図の灰色のブロック)。

 

ブロック3

 

これは、ビットコインでProof of workと呼ばれる偽造防止の仕組みであるが、ブロックを作成するのに時間(コンピュータのリソース)が必要であることと、正統な参加者には報酬が支払われるので、偽造に投資するインセンティブを無くすということに依存している。

しかし、ここにはいくつかの懸念もある。以下のようなものだ。

  • コンピュータのパワーを隠し持っている悪意のあるマイナーがいれば、正当なブロックを追い越して偽造することが可能かもしれない
  • 上記の時にそれが偽造であることを見抜くには、他のノードが監視していなければならない
  • マイニングで得られる報酬によって、過去の取引の偽造が防止されるかどうかは、マイニングで得られる報酬と、偽造により得られる利得との相対的な比較による
  • これがビットコインの取引ではなく他の資産の移転の場合にブロックチェーンを使う場合など、マイニングで得られる報酬が偽造防止に役立つか懸念がある
  • ましてや、マイニングで得られる報酬はいずれ無くなることになっており、その際に偽造を引き留めるインセンティブを設計できるかが課題である。

このような問題は、P2Pネットワークが匿名で、誰でも参加できるという特性によって発生している面もある。そこで、参加者を限定するブロックチェーン(Permissionedなどと呼ばれる)が検討されている。

 

 

電力供給とブロックチェーン

ドイツにおいて、電気自動車の充電スタンドで充電する際に、ブロックチェーンを活用する試みがあるとのこと。

Why a German Power Company is Using Ethereum to Test Blockchain Car Charging

ブロックチェーンの応用は様々な場面で試みられているが、「本当にブロックチェーンで実現するメリットがあるのか?」「何が可能になるのか?」「どのような問題が解決されるのか?」という視点が重要であろう。

今回の記事によれば、ブロックチェーン、特にスマートコントラクトを使うことによって、ユーザーが充電器と直接取引を行うことによって、おそらくは事業者とのわずらわしい契約を行う必要が無くなるということのようである。

通貨としての使い方であれば、払ったお金の使い道を限定するといった使い方に可能性があるが、もしブロックチェーンで「電気の出元と用途を制御する」ことができれば、エネルギー問題の議論にもインパクトがあるかもしれない。

 

いまさら聞けないブロックチェーン(5)

前回、取引データに含まれる公開鍵や電子署名で、どのように正当な受け取り手を確認するのかを解説した。

しかし、実はこの仕組みがあるからといって、必然的にデータの改ざんを防げたり、不正な使用(ビットコインの2重支払、持っていない分まで支払う等)を防止できるという訳ではない。

そもそも、取引データやそれらをまとめたブロックチェーンは、P2Pネットワークの中に「漂って」いる。

P2P

 
また、まだブロックに取り込まれていない新しい取引データも、P2Pネットワーク内には漂っている(図中のNew TX)。アクセスすれば参照することはできるが、自動的に何かを防止するものではない。拡大すると、以下のようなイメージである。

 

台帳

 

これらのデータの中には、改ざんされたり、不正なリソースの使用が埋め込まれている可能性があるあるいは、後から誰かが過去の取引を改ざんすることもある(図中の「不正なTX」、「改ざんされたTX」)。

「ブロックチェーンは改ざんができない」とよく言われるが、「改ざんを検知できる」だけであって、改ざんそのものは誰でも容易にできるのである。

従って、ブロックチェーンを意味あるものに維持するためには、誰かがどこかのタイミングでブロックや取引データを確認しなければならない。

では、一体誰が、どのタイミングでその確認を行うのか。これが今回のテーマである。

実はブロックチェーンのファイルはP2Pネットワークに漂っているので、いつ誰がそのデータを検証しても良い。どのような確認がどのタイミングで必要かは、仮想通貨として使うか、台帳管理に使うかなど、応用場面によっても異なるだろう。

以下ではビットコインの場合について整理したい。ビットコインの場合、基本的な確認タイミングはP2Pネットワークに送信した直後である。

P2Pネットワークによる確認

ここでは、Mastering Bitcoin (Antonopoulos 2015, p.180)をベースに説明する。まず、新規の取引データを作成したノードは、近隣のP2Pノードにその取引データを配信する。受け取ったノードはその取引データが正当なものであるかを確認する。

P2P2
確認のためのチェックリストは随時変更があるが、以下のようなものだ。

①データの形式が合っているか
②支払いのために参照しているアウトプットが存在し、既に使用済みではないか
③InputのSignature Scriptが、対応するOutputのPubkey Scriptに対して有効である

上記の②で2重払いの確認に対応し、③が持ち主の権利を確認するのに該当すると考えられる。

基本的には、P2Pネットワークに接続されている各ノードは、取引データを確認した上で、正しければ他のノードにさらに転送する。それらはメモリー・プールに積み上げられていく。そして、以前にも説明したマイニングのプロセスで、最初に「ナンス」を見つけたマイナー(図のMiner)が、取引データを束ねて新たなブロックを作り、ブロックチェーンが長くなる仕組みだ。

Walletによる確認

それ以外にも、確認タイミングとしてはビットコインのWallet(お財布)がある。実はこの財布に通貨の代わりになる何かの電子ファイルが入っているわけではない。上述のP2Pネットワークに漂っているブロックチェーンから、自分宛ての取引データを探しだし、一時的にローカルの端末に表示しているだけである。

Walletは、基本的には単に自分宛ての取引(自分の公開鍵ハッシュ値が宛先に指定されている取引)を探し出すのが第一の役割である。Walletで署名検証などを行っても、ブロックチェーン全体の信頼性の担保にはあまり貢献できないかもしれない。ただ、実際にリソースを使おうとする際には、念のためにこれから使おうとするビットコインの信頼性を確認することはできるだろう。

このように、ブロックチェーンによるデータの信頼性確保はP2Pネットワークに参加している様々な他のノードに依存していることがわかる。他のノードの働きや、マイニングにかかる時間など、取引がきちんと成立するには一定の時間がかかるだろう。この辺は、P2Pネットワークに参加するノードの範囲や信頼性などによっても変わってくるところであろう。

 

「IoT推進における政策の役割を考える」のお知らせ

社会情報学会にて以下の研究会を開催します。

どなたでもご参加可能です。

==
社会情報学会 2015年度第2回情報政策研究会
「IoT推進における政策の役割を考える」

主旨

情報通信技術が多くのハードウェア製品にも組み込まれ、ネットワーク化されることで、様々なサービスを生み出し、経済成長を促すことが期待されている。産業界における取り組みに加え、政府においてもIoT関連の技術開発、ビジネス創出を促すために様々な取り組みが始められているところである。そこで、本研究会では、我が国におけるIoT政策と、IoTビジネスに取り組む実務の両面から現状を概観し、今後のIoT分野における政策の可能性を議論する。

開催概要

日時:2016年3月10日 15:00~17:30
場所:国際大学GLOCOM ホール(東京・六本木)
主催:社会情報学会
後援:国際大学GLOCOM

参加者:社会情報学会員および一般参加者(20~40名程度を想定)

第一部 プレゼンテーション

○経済産業省 商務情報政策局情報通信機器課 総括課長補佐 津脇慈子 様
「日本のIoT政策について」(仮)

○株式会社NTTドコモ 法人ビジネス本部 IoTビジネス部 部長 谷直樹 様

○セーフィー株式会社代表取締役社長 佐渡島隆平 様

○島根大学法文学部法経学科教授 野田哲夫
「オープンイノベーションとしてのIoTと企業意識について~IoT時代における共創環境と企業アンケート調査結果から~」

第二部 参加者によるディスカッション
(1) IoT関連ビジネスの機会と課題
(2) IoT推進における政府の役割、政策的手段

ゲストコメンテーター:国際大学GLOCOM准教授/主幹研究員 砂田薫 様

司会:国際大学GLOCOM准教授/主任研究員 高木聡一郎

申し込み先:下記のPDFファイルの下部をご覧ください。
http://www.ssi.or.jp/event/event20160310.pdf